写真提供  高橋屋観山荘
                                         資料提供  慶應義塾大学

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二 川
隷書東海道(弘化刊)



 遠州灘の上に広がる青い空をバックに、茶屋が立ち並ぶ風景である。中央遠方に家並み見えるが、白須賀の宿はずれの建物であろうか。この絵には、「二川」の題があるが、白須賀を出てすぐ隣の猿が馬場(現在の境宿)である。遠江と三河の境“境川”も近い。広重の絵本『東海道風景図会』のはしがきに、「一丁毎に五十三駅の署名あれとも、ことことく其駅を図するにあらず駅の前後左右にあるところの名所旧跡、あるいは佳境の地を略図するなり」と書かれるように、広重の東海道錦絵は宿場だけでなく。途中の立場を描くことが多い。この猿が馬場は各道中記に記されるように、柏餅が名物であった。『東海道名所図会(寛政九−一七九七−刊)』を見ると、小豆を包んだ餅を柏の葉でくるんでいるので、現在我々の食べる柏餅と同じ様な作り方である。しかしながら、評判は悪いようで、かなりの酷評をいうものもいた。左側の茶屋には、こちらを向いた男が左手に茶碗を持ち、パクついている。こちら側を背にした男は、もう食べ終わってしまったのか、たばこをふかしている。こちらの男は脚絆をつけておらず、股引きのままである。茶屋の中の看板は「名物柏餅」。
 右側の茶屋の前に、今駕籠が二挺到着している。駕籠かき二人と客の間にトラブルが起きているようだ。大声をあげているようにもみえる。どうやら、ここは『膝栗毛』を題材にした絵らしい。かごの下敷きの布団から四文銭一本を見つけだした喜多八が、前の客の忘れ物と大喜びして、猿が馬場で駕籠かき四人に酒をはずみ、三百八十文(約五千円)も飲まれてしまう。ところが、すぐに駕籠かきから「ヲヲそれそれ。モシ旦那。あなたの乗てござらしゃる、ふとんの間に四文銭一本いれておきましたが。あるか見てくださりませ。」といわれてしまったところであろうか。


文献:慶應義塾大学 三田情報センター 文献シリーズ22≪広重 東海道 錦絵を読む≫
  ※ お断り
 広重は生涯で出世作「保永堂版・東海道五十三次」のほかに20種類以上の東海道錦絵を描き続けたとされています。(文献 はしがきより)
 そのため、絵皿の風景と宿場の解説が一致していないものもございます。
 ご承知おき下さい。


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