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| 写真提供 高橋屋観山荘 |
| 資料提供 慶應義塾大学 |
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鞠 子 行書東海道(天保後期刊) |
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鞠子(丸子)は小さい宿場であるが、名物とろろ汁で知られていた。ほとんどの道中記や旅日記には書かれている。とろろ汁といえば、松尾芭蕉の「梅若菜まりこの宿のとろろ汁」(元禄四『猿蓑』)が有名である。この絵はまさにこの光景である。紅梅白梅の咲き誇る麗らかな春の一日、街道の茶店で二人の旅人がとろろ汁を食べている。手前の男は大口でかっこんでいるが、奥の男はもう一膳目はおわったらしく、椅子の上のお盆には空っぽのどんぶりがのっている。茶店のばあさんがおかわりをもってくる。しわくちゃ顔のばあさんと二人は、大声で話し込んでいるのであろう。弥次郎兵衛と喜多八のような、『膝栗毛』の世界の二人旅かもしれない(同書では、茶店の夫婦の喧嘩にあって二人は食べられない)。とろろ汁は一つまみの麦飯に、味噌でといた汁をかける仕立てのようである。朝早く旅籠を出発した旅人は、丸子の宿場をただ休むだけでなく、旨いものが食べられると、楽しみにしていたのかもしれない。京都の食通の公家土御門泰邦は『宝暦十年庚辰正月東行の話説』で、「唯怨むらくは味噌のあしきに鼻も開きがたく…」といった。高貴な公家にはあまりに野趣な味であったのかもしれない。
茶店の中を見てみよう。手前の壁に掛軸のようなものが掛かっているが、これは出版社の広告で、「馬喰町四丁目板元江崎屋」である。その隣りには旅に必要不可欠のわらじと道中笠が掛けられている。わらじは当時茶店では十六文ぐらい(約二百四十円)で売られていたようだ。本館所蔵の飛脚の旅日記をみると、毎日一足ずつ買っていることがわかる。この飛脚は、普通の旅人と変わらない速度で歩いている。土壁の割れ目には、ぼろ隠しとして絵が張られているが、これは広重の道中錦絵であろう。店の奥には、酒の肴に干魚が並んでいる。 文献:慶應義塾大学 三田情報センター 文献シリーズ22≪広重 東海道 錦絵を読む≫ |
| ※ お断り 広重は生涯で出世作「保永堂版・東海道五十三次」のほかに20種類以上の東海道錦絵を描き続けたとされています。(文献 はしがきより) そのため、絵皿の風景と宿場の解説が一致していないものもございます。 ご承知おき下さい。 |
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