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プロ棋士がタイトル戦で使う将棋駒を作るのが私の仕事。
親父の跡を継ぎ、竹風駒の技を受け継いでいる。
私が作っているのは「彫駒」(ほりごま)、「彫埋駒」(ほりうめごま)、「盛上駒」(もりあげごま)の3種類。
彫駒は、駒木地に昔から伝わる書体の字を彫り漆を入れたもの。その1ランク上が彫埋駒で、彫った字の上に漆を入れて平らに埋めたもの。最高級といわれる盛上駒になると漆を埋め、平らにした上にさらに蒔絵筆で漆を盛り上げて仕上げたものである。
駒作りの作業工程では、どれをとってみても手間がかかるが、特にこの盛上げをするときは全神経を筆に集中させます。また、漆は埃を嫌うため仕事部屋には一切誰も入れません。空気が動き、目に見えない埃が入りますから。1組42枚を仕上げるには、かなりの精神力がいりますねぇ。 |
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最高級の駒を作るには、素材にもこだわります。
私は、伊豆七島の御蔵島にある黄楊の木しか使いません。珍しい模様のある天然木は、ここにしかないから。毎年、木が水を吸わなくなる冬場、師走から一月にかけて御蔵島へ行って木を伐ります。自分の勘で見分けるが、木地に模様があるのは貴重でめったにない。実際は伐ってみないとわからないものです。なんといっても、相手は自然の木。こればっかりは賭けのようなもの。
タイトル戦では、赤柾、虎斑、杢、孔雀杢などという珍しい模様が入った駒を使います。しかし、そういう駒は年に数組しかできません。木地が揃わなければ作れませんから。木地が揃わなければ、揃うまで何年も待つこともあります。 |
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現在、盛上駒を作る駒師は、全国でも数名しかおりません。昔の駒師、親父もそうですが作業工程を決して、他人には教えなかった。しかし、いい駒を作るには自分の中だけにこもっていてはいけない。駒師同士で情報交換し、時には自分の持てる技を教え合い、互いに切磋琢磨して刺激し合うことも大事なのではないだろうか。
時代と共に駒師を取り巻く環境も変わり、それによって考え方も変わるが、追い求めるものは昔も今も変わらない。いい素材を探し求め、自分の納得いく駒ができるまで作り続けていくことだ。 |