|

|
▲初めて作った小面。面布団は、田中恵美子さんの作品。 |
|
今年の春、初めて小面(娘)の能面を打上げました。
謡をやっていたし、昔から作りたかったんです。
しかし仕事をしてる間は、とても手が出せませんでした。
昨年1月有志が集まって『三条面怡会』を作り、それから毎月2回吉川花意先生に指導を受けています。
能面は、昔から大きさ形が厳密に決まっています。
制作には型を使って、まったく同じになるように作って行きます。
しかし出来上がりと、制作者の感性と技量が露わになるから不思議です。
私の小面は、少し黒っぽくなってしまいました。
能面制作は、眼に見えないところに手をかけているのです。
下地の塗りだけで27回。
まず白い胡粉と膠を湯煎で溶いて、薄く塗り、乾かします。
それを3回やって、120番の紙ヤスリをかけます。
その作業を7回、全部で21回行います。
次に朱墨を混ぜた胡粉を塗って、乾かします。
これも3回。
さらにタンポンを使って、薄く黄色をまぶして、乾かします。
この作業を3回。
最後に、茅葺き屋根の天上裏に溜まる黒っぽい液体を、薄く丁寧にまぶして、面の肌に古色を出します。
その後で、墨で眼の縁取りと髪部を描きます。
そして彫刻刀で髪部に三本の毛筋を彫り、唇に朱を入れます。
能面が角度によって、まるで血が通っているように見えるのは、この作業の結果生まれる効果なのです。
素人が能面を作る場合、一作目が一番よい出来になるそうです。
だから初めて面を打つ場合は、ゆっくり、時間をかけて作る方がよいと、先生からアドバイスを受けました。
私は、小面の制作に、丸一年をかけました。
とりあえず満足できる小面を作ることができました。
次は、いま翁の面に取り組んでいます。 |